「社長の値打ち」長田貴仁・著。
サブタイトルは「難しい時代」にどうあるべきか。
書店でこのタイトルを見たら素通りするわけにもいかず、手に取り、冒頭を読むやレジに持って行きました。ハイ。
その冒頭は次の文書で始まる。
名経営者と言われている人に「後任の社長には、どのような人が望ましいと考えていますか」と質問した。その答えは、「私欲が無い人」だった。
この本では、創業社長、サラリーマン社長、世襲社長といった様々なケースを取り上げ、その中でも異彩を放つ社長のエピソードを交えながら紹介している。その豊富な取材力と、著者の視点の鋭さがいい。
社長にもいろいろなタイプがあって、それを事例をあげて紹介する。一見、バカ殿のように下のものに「ほな、それで」と言っている社長がいる。それが良くない社長かというと、そうとも言えない。その社長になってから、業績をかなり伸ばしていたりする。
怒る社長もいれば、怒らない社長もいる。
実に様々な型がある。
「不正を働く社長」の章では、不正を働くずっと以前に取材した様子を織り交ぜながら、数年の間に、顔つきまでもがすっかり変貌する様を記していて興味深い。
ところで、世襲社長やサラリーマン社長の箇所を読むと、創業社長よりもはるかに大変であろうと察する。創業社長は裸一貫から始めるのだから、過去のしがらみがない分だけいい。私の父も、叔父も(そして、たぶん弟も)世襲社長で、その苦労はいかばかりかと思ってみたりする。