歌舞伎座・7月大歌舞伎・夜の部を母と観ます。
歌舞伎座に母を連れていくのが、私の唯一の親孝行でしょうか。
母には昼の部がよかったろうと思うが、午後に東京に着くので昼の部には間に合いません。夜の部にて泉鏡花の世界を堪能します。
今日は花道近くの前から3番目という良いお席がとれました。
演目は「夜叉ケ池」と「高野聖」の2本。
「夜叉ケ池」は玉三郎が監修で、猿之助の門下生「21世紀歌舞伎組」の皆さんが好演します。けど師匠の猿之助が出ていない舞台というのは、なにか一つ物足りない気がします。なんでしょうか「華」というのは、持って生まれたものなのか、何でしょうか。でも、皆さんは好演しています。応援したいですね。
さて、お目当ては「高野聖」です。
この演目は昭和29年、中村扇雀時代の坂田藤十郎と簔助時代の八世坂東三津五郎が演じて以来だそうです。
玉三郎と、高野山の修行僧・宗朝は海老蔵が演じます。
「行ってはいけない」と言われる道を、ひょんな事から入ってしまう宗朝(海老蔵)。そして出会ってしまった女(玉三郎)。
玉三郎の怪しい妖艶さが実に良いのです。
この役柄をこのように演じられる人って、他にいるだろうか、などと思ってしまう。
この世界は、海老蔵にはちょっと難しかったかな。やっぱりここは、片岡仁左衛門さんにやってもらいたいと思ったりします。
玉三郎と海老蔵の入浴シーンは着物を脱ぐ時は岩の後ろで行いました。照明も暗くしていますから、前から3番目でも肌はぼんやりとして見えません。そのまま、水の中に入ります。舞台から少し低くなったところに入ると、舞台には肩から上しか見えません。おもしろい演出だと思いました。
最後のシーンは、不思議な世界を中村歌六さんが説明します。語りのうまさ。こういった役柄が、この芝居に深みを与えるのだと思います。