読書:中村勘三郎 最後の131日 哲明さんと生きて

「中村勘三郎 最後の131日 哲明さんと生きて」波野好江・著。

中村勘三郎さんが亡くなった時、驚きのあまり思考回路が止まった。ウッソー、、、。まだ57歳だった。若い。2012年12月5日。

いまもまだ「あ〜、この役は勘三郎さんがピッタリだなぁ〜」なんて思いながら見る演目はたくさんある。

奥様は1959年4月12日生まれ。私の1学年上になる。ほぼ同世代。早くに未亡人になってしまった。その方が書いた本。

読んで感じるのは「なんだか、あっという間に、アレヨアレヨと病状が悪くなり、そして亡くなってしまった」ような感じ。ご本人も、まさか、亡くなるとは思わなかったのではないかと思うのです。

ファンは「かえって来る!」と思っていたと思う。まさかまさかの事が起きるものだ。

それにしても、このご夫婦は本当に夫婦喧嘩したんですね。そのエネルギーは凄いなぁ〜。若い。

病気については、本によると、最初に「おかしい」と感じたのは2010年10月、11月。それは「うつ病」と診断され、強い薬も飲んでいたようです。しかしながら、奥様がコッソリ薬を差し替えてしまい、それでも何ら変化がなかったという結果も。うつ病って難しい病ですよね。本当のところはどうだったのだろう。

そうこうするうちに、奥様のお父様が亡くなる。2011年10月10日。中村芝翫さん。七代目。踊りのうまい役者さんでした。勘三郎さんはここでもキッチリとなさっている。頭が下がる。

そして病は進行している。最初は「がん研有明病院(2012年6月)」でがん摘出の手術をする。そして「東京女子医科大学病院(2012年8月)」、「日本医科大学附属病院(2012年9月)」。実に3つの病院で名医に診てもらっている。

最後の舞台は2012年7月18日、松本。木曾義仲の役でサプライズ出演。まさか、これが最後の舞台になろうとは、、、。

人に寿命があるのだろうと思う。勘三郎さんの寿命だったのではないか。それにしても若い、そして素晴らしい演者で本当に惜しい。惜しいしか言葉が見つからない。ご冥福をお祈りします。