言えなかった…

横浜から「新宿湘南ライン」に乗って新宿に向った。
乗った車両は、両サイドに椅子があるタイプではなく、旅行の時に乗るようなボックスタイプの座席だった。

乗った瞬間、ボックスではなくて端の、そこだけ対面状の椅子が空いていて、何も考えずにドスンと座った。次の瞬間、杖をついたご老人が入ってくるのが見えたので、即座に立って席を譲った。

なぜ、すぐに座ってしまったのかと後悔した。
なるたけまわりを見てから座るのに…。今日は終日立っていたので足が少々、くたびれてました。

そしてふと見ると、そのご老人のお友達なのかご兄弟なのか、同年代(75歳以上とお見受けしました)の方が立っていらっしゃる。「私は立っているから大丈夫」と合図を送っているのを見て、お知り合いだと承知した。

ふと他の椅子を見ると、その方達の孫ぐらいの若い人達が座っている。誰も席をゆずらない。さらに車内を見渡すと、70歳代とおぼしきご婦人が、あと数人立っていらしゃる…。

私は、どうしたものかと思った。
「すみませんが、席をゆずってあげては?」と何度も言おうと思ってドキドキしていた。

「それは押しつけがましいだろうか」と思ったり、「自分で気づいてくれないかなぁ」と思ったり、そうこうしているうちに、若い人達は目をつぶり、寝ているのかどうか、そういう体制に入ってしまった。

こっちの椅子には、若い男女が(会社の先輩・後輩のような方達が)話し込んでいる。そちらに視線を送ってみる(ご老人がいることに気づいてくれー、そこからも見えるでしょーと)その思いは通じない。

申し訳ないです。
私は、何も言えないまま新宿に着いてしまいました。

そのご老人は新宿でやっと座ることが出来、座る時に気づいたのですが、足を少々ひきずってました。それなのに、横浜から新宿まで立ちっぱなしで申し訳ありません。

こういう時に、どのように声を掛けたらよかったのでしょうか。

それにしても、ご老人に席をゆずることもしない、そんな東京にしたのは、私たち大人の責任です。なんとも後味の悪い帰宅です。