「ウェブ人間論」梅田望夫、平野啓一郎・著。
「ウェブ進化論」が大ヒットした梅田氏と、芥川賞作家の平野氏の2人の対談集。
あちこちで話題になった本だが、対談ものってあまり好きじゃないので、読んでなかった。
(対談が好きじゃないと思った私だが)、とてもおもしろかった。
平野氏は文学の人だから、どちらかと言えばWeb事情に疎いというか、一般的な考えを持っていて、それを梅田さんに質問をする。梅田さんが、これに実にわかりやすい言葉で返答をする。こう書くと、入門的な浅い内容に取られるかもしれないが、そうではなくて、思想的な事が随所に出てくる。そういうところが、おもしろい。
平野氏は、「パソコンや携帯電話で小説を読む時代になると、本はなくなるのか?」といった質問をする。梅田氏は、「自分の考えはすべてネットに公開しようと思っていた。ネットだけでいいんじゃないか」と。そんな梅田氏は読書家でもある。そんな時に「これを最初で最後に」と自分の考えをまとめた本を書く。「ウェブ進化論」だ。すると、ネットでは得られない反響があり、著者自身が驚く。
梅田氏は私と同世代の人。
インターネットとの遭遇など同時期を過ごした者として、この人の考えはスーっと入る。
私も本が好きで、それと、ほぼ等しくインターネットも好き。どちらも必要で、どちらか一つになったら困る。
検索するとか、自分の知らない世界を知るきっかけには、ネットを使う。
もっと深く知りたい時は本を読む。
梅田:ブログを書き始めたとき、自分はいったい何が好きなんだろう、何についてなら毎日書けるんだろう、ということをずいぶん考えました。僕の場合、趣味は何ですか、みたいな質問にちょっと前まで即座に答えられなかったんです。
(中略)
それは(ブログを書くということは)大げさな言い方をすれば、自分で自分を発見したということだったんですよ。
東北福祉情報専門学校の情報科2年の皆さんに(授業の課題として)ブログを書いてもらっている。初めてブログを書く人は最初のページはおおいに迷っている様が出ている。梅田さんと同じなのね。けれど回を重ねると、良い内容(読みたくなる内容)にドンドン進化している。特に若い皆さんが自分を見つめるというのは、いい事ではないだろうか。