ボニート物語 —6

たった一人で創ってしまった「菩丹絃(ボニート)」に社員を入れたのは会社設立から4年目、平成8年の春のこと。

女性が経営する会社(しかも、たった一人の会社)に入ってくれる人はない。いろいろと声をかけ、従姉妹の友人という女性に来てもらった。従姉妹とよく似た感じの穏やかそうなその人は、不安もいろいろあっただろうが、兎にも角にもボニートに入ってくれた。 私と彼女の2人でのスタートが今日のボニートの基礎を創った。

私は社員を採用したことで、経営ということを考えるようになったと思う。一人で会社を創った時は、ただ登記したに過ぎず、経営などは考えていなかったと、振り返るとそう思う。

会社のルールを作る。従業員が働きやすい環境を考える。会社の在り方を考える。ボーっとしているように見えるかもしれないが、実はいろいろと考えごとをしていたわけだ(^-^)

私と従業員の考え方にはズレがある。年齢も立場も社会経験も違うから、それは当然の事だ。そのズレを確認しあいながら、納得できる妥協点を見つけて次に向かう作業は、私には案外と合ってることに気づいた。

ボニートの歴史の中で特筆すべきは彼女が入社してくれたことだ。それがなかったら、今日のボニートはなかった。

社員第一号の女性はその後ボニートを辞め、幸せな家庭を築いていている。