ボニート物語 —4

「どうして会社を創ったのか?」と聞かれることが多い。「どこにも入れなかったから」と答えている。「Macと出会ったから」と答えることもある。

その2つは確かに後押しにはなったが、もしも、まともな会社に就職したとしても、もしもMacと出会わなかったとしても、私は会社を創っていたのではないかと思う。

私の実家は何代か続いた商家で、事業を起こすことを考えるのは、皆さんが高校を出た後は大学に行こうかなと考えることと同じくらい、ごく自然のことだ(ただし、女性は、「商家の嫁になる」ということだったが)。

そういう環境で育つと、仕事するなら、いずれは起業しようという意識が私のDNAに染みこんでいるようだ。企業家などと、たいそうなことではなく、商人として物事を考えていることに気づいた。

折良く、平成2年の法改正(平成3年4月1日施行)により、有限会社は一人役員(社員)での設立が可能になったことと、Macを使って何か出来るかもしれないという大ざっぱな見通しで会社設立に踏み切った。

今にして思えば、なんとも世間知らずな話ではある。