読書:宮崎アニメは、なぜ当たる

「宮崎アニメは、なぜ当たる」斉藤守彦・著。
サブタイトル:スピルバーグを超えた理由
1401.jpg

映画アナリスト/ジャーナリストである著者・斉藤氏は私と同じ日生まれ。

家庭にテレビが入った最初の世代(だと思う)我々は、映画よりもテレビで育った。そんな中で著者が映画の世界に引きずり込まれた理由が「まえがき」にある。

13歳の少年は「日本沈没」と「グァム島珍道中」の2本立てを友人と映画館で観た時に、衝撃的な体験をする。映画館の人口密度の高さ、人、人、人…。そこに集う大勢の人達がスクリーンに集中する様、そして緊張感。テレビとの違い、そこに映画の持つパワーを見ます。

本は年代順に書かれています。
最初の章は「1988」ー「となりのトトロ」「火垂るの墓」「太陽の帝国」から。

作品の概要と、その時代背景、当時の日本映画のおかれた状況、制作費と興行収入、宣伝の仕方、あらゆる角度から見ていて、映画ファンにはたまらないのはもちろんのこと、私のように、映画に詳しくない者もドンドンと引き込まれます。

その当時に斉藤氏が予想したヒット感、その当時に斉藤氏が書いたものなどを照らし合わせて読むと、映画に対する愛情とその深さがあちらこちらに見えます。

私は宮崎駿監督の作品を、申し訳ないが映画館で観ていません。テレビで放映されたものを観る程度でおりました。それでも、結構な作品を観ていることを改めて思います。しかし、しかし、しかし、、、この本を読みますと、もう一度、その作品をシッカリと観てみたいと思います。

最後の章は「崖の上のポニョ」の公開前で終わっています。
あーーー、続きが読みたい!!!
この作品の公開を、斉藤氏はどう見たのでしょうか。
宮崎監督とスピルバーグ以外の作品を斉藤氏はどう見るのでしょうか?

斉藤氏が書いたものは、ネット上の「日本映画、疾走」でも読むことが出来ます。
現時点の最新は第28回です。

ネットはネットの楽しさがありますが、是非、この本を読んでみて欲しいです。深い内容であるのに、文章は読みやすく、読んでいて楽しくなる、お薦めの1冊! 斉藤さんの文章を読んだおかげで、最近、実に何十年ぶりに(!)映画館に足を運んでおります。

私が行くのは(会社から近いという理由で)新宿バルト9でして、最近はネットで座席指定が出来るようになり、私が若い頃の、あの立ち見をしていた時代から考えると、ゆったりと楽しく見ることが出来ます。いい時代になったものです。