ずいぶん長い時間をかけて、この本を読んだ。
一気に読めば数日で読破出来るだろうけれど、「悼む人(静人)」がゆっくりと旅するように、章ごとに、いったん本を閉じて、気持ちを整理したり、
読み終えるのが惜しいような気もした。
少し分厚いこの本を、いつも鞄に入れて、電車を待ちながら、電車にゆられながら、少しずつ、少しずつ読んだ。
この本を開くたびに「死」ということを意識しながら読んだ。
謝辞を読むと
いまやっていますと答えつづけて12年・・・・。
それだけの年月をかけて完成したということは、私が感じた「時間」が間違っていなかった気がしている。
すごい本です。
あらすじは、亡くなった方のその場所で、亡くなった方を悼みながら旅をする静人、そしてその奇妙な光景をとりまく様々なドラマが展開されている。
最近、道ばたで花束などを見ると、そこに静人がいるような錯覚を覚え、「その方は、誰に愛され、誰を愛し、そして何によって人に感謝されたことがありましたか?」と聞いてみたい気がするのは、この本の影響が大きいわけで。