前から読みたかった本。
合宿の道中に読んだ。
円谷幸吉は東京オリンピックで銅メダルに輝いたマラソン選手。
しかもその後、27歳という若さで自殺してしまう。
幸吉が両親に当てて書いた遺書はあまりにも有名な次の言葉。
父上様、母上様、三日とろろ美味しゆうございました。
この本の冒頭は、その幸吉が亡くなった昭和43年の始まりと、1/9に訃報を知らされた両親、知人、あらゆる人々の「信じられない」という気持ちから始まる。
まさか、あの幸吉が、、、。と絶句する。
遺書は全文を掲載し、それを読むと悲しみが込み上げる。
悲しいほどにストイックに練習に打ち込み、それが結果として銅メダルに輝き、そのストイックさゆえに死んでしまう。
誰にもマネの出来ない運命だった。
人生に「たら、れば」はないというが、要所要所で、もしここでこうだったら、、、と思わせる箇所がいくつもある。
日本代表としてのプレッシャーがかくも過酷なものかとも思う。
著者は朝日新聞スポーツ部の記者として幸吉と出会い、公私にわたっての付き合いの中から、このような詳細な文章を書いている。
マラソンをされる方も、そうでない方にも読んで欲しい本。