読書:いちばんやさしいオブジェクト指向の本

「いちばんやさしいオブジェクト指向の本」井上樹・著。
1501.jpg

タイトルにあるように、わかりやすい本。
だからといって、これを読んだ程度で何かを作れるわけでもないし、わかった気になるような何かを授かるわけでもない。

オブジェクト指向の必然性とか、それに対する教育の必然性とか、技術者以外の、私のような立場の人間には、参考になる本。

ケーキ屋に例えた説明はわかりやすい。
途中から多くの用語が登場し、急に難しく感じる。わかる人にはさらに深くわかるだろう(と思うと、少し悔しい)。

読書:iPhone 衝撃のビジネスモデル

「iPhone 衝撃のビジネスモデル」岡嶋裕史・著。
1402.jpg

この本、タイトルに惹かれて買い。
(iPhoneはアップルがアメリカで発売した新しい携帯電話、こちらをご覧ください)

そうそう、MacPeople9月号の付録本がiPhone。
1401.jpg

まだ、日本で発売されるかどうかもわからないってーのに、なんでしょ、この熱気はw。ある一部では、ものすごーーーい期待感。私もその一人。

この本では(こういう点はまだまだと書きながらも)ベタ褒め。
オイオイ(こんなに書いて)大丈夫かい思いつつも、それに同調する自分もいて、Mac好きのアップル信者な人達には受け入れられるでしょう。それ以外の方には、、、はわからない(笑)

タイトルからイメージするほどには、全体にiPhoneの情報は少ない。本を執筆した時点では情報が少なかったか?(iPhoneの知識を得るには、MacPeopleの付録がよいかも)。

全体にはWeb2.0の話を多く盛り込んでいるが、ま、そちらの情報もちょっと物足りない感じが、、、。そう書くと、あれれ…な内容になっちゃうけど、iPhoneを期待している方は目を通してもいいんじゃないかと思う。ワクワク感が増しますヨン。

どこのキャリアでもかまわないから、どこぞのキャリア様、日本でも使えるようにしてくだされ。

読書:ウェブ人間論

「ウェブ人間論」梅田望夫、平野啓一郎・著。
1001.jpg

ウェブ進化論」が大ヒットした梅田氏と、芥川賞作家の平野氏の2人の対談集。

あちこちで話題になった本だが、対談ものってあまり好きじゃないので、読んでなかった。

(対談が好きじゃないと思った私だが)、とてもおもしろかった。

平野氏は文学の人だから、どちらかと言えばWeb事情に疎いというか、一般的な考えを持っていて、それを梅田さんに質問をする。梅田さんが、これに実にわかりやすい言葉で返答をする。こう書くと、入門的な浅い内容に取られるかもしれないが、そうではなくて、思想的な事が随所に出てくる。そういうところが、おもしろい。

平野氏は、「パソコンや携帯電話で小説を読む時代になると、本はなくなるのか?」といった質問をする。梅田氏は、「自分の考えはすべてネットに公開しようと思っていた。ネットだけでいいんじゃないか」と。そんな梅田氏は読書家でもある。そんな時に「これを最初で最後に」と自分の考えをまとめた本を書く。「ウェブ進化論」だ。すると、ネットでは得られない反響があり、著者自身が驚く。

梅田氏は私と同世代の人。
インターネットとの遭遇など同時期を過ごした者として、この人の考えはスーっと入る。

私も本が好きで、それと、ほぼ等しくインターネットも好き。どちらも必要で、どちらか一つになったら困る。

検索するとか、自分の知らない世界を知るきっかけには、ネットを使う。
もっと深く知りたい時は本を読む。

梅田:ブログを書き始めたとき、自分はいったい何が好きなんだろう、何についてなら毎日書けるんだろう、ということをずいぶん考えました。僕の場合、趣味は何ですか、みたいな質問にちょっと前まで即座に答えられなかったんです。
(中略)
それは(ブログを書くということは)大げさな言い方をすれば、自分で自分を発見したということだったんですよ。

東北福祉情報専門学校の情報科2年の皆さんに(授業の課題として)ブログを書いてもらっている。初めてブログを書く人は最初のページはおおいに迷っている様が出ている。梅田さんと同じなのね。けれど回を重ねると、良い内容(読みたくなる内容)にドンドン進化している。特に若い皆さんが自分を見つめるというのは、いい事ではないだろうか。

読書:IT達人の仕事術

「IT達人の仕事術」IT media Biz.ID・編さん。
IT達人の仕事術

帯には「ITを見方に、自分の仕事術を確立しよう!カッコよく、便利に仕事をこなしたい人へ」とありますから、やっぱ読んじゃう。

10人の仕事術が記されている。
興味深いのは「取材した時点では、これこれを使っていたが、現在はすでにこれこれに移行」なる書き込みがある。ITの達人たちは、次に良いものが出れば、すぐにそれを試し、よければすぐに移る。

小川浩さんは、取材した時点ではフィードパス株式会社にいて、本が出る頃には株式会社サンブリッジに変わっているほどで、身のこなしが実に軽い。

データセクション株式会社の橋本大也さんの「情報のわらしべ長者のススメ」という考え方はおもしろい。

従来は一人で勉強して専門家になっていました。これからは専門家を集めてネットワーク化することで専門家になれる。

ガ島通信」の藤代裕之は、名刺を頂いたら挨拶のメールを送信し、そのメールをデータとして利用するという手法。

私はちょうどマシンをイニシャライズしたところだから、これを機会にツールの見直しなどをしましょっと。

読書:遊鬼―わが師わが友

「遊鬼―わが師わが友」白洲正子・著。
2201.jpg

白洲正子が、師匠であり、友であった人々について書いた本。
青山次郎、小林秀雄らのそばにいたからこそ、そして、骨董を愛して、胃潰瘍になるほど真剣に批評し合ったからこそ、書ける文章。

この本の中では、そういった方々がお亡くなり、その悲しみを書いた文章が、サッパリと書いているから余計に悲しみが伝わる。

白洲次郎のことは、最後にやっと少しだけ出てくる。
その中には、家族だからこそ知るうる白洲次郎という人物が描かれていて、なんだろうか、不思議な余韻な残る。もう少し、この人の本を読んでみようか。

読書:思考の整理学

「思考の整理学」外山滋比古・著。
1701.jpg

難しい本かと思ったら、サラリと読めた。
易しい言葉の裏側に奥は深い。

「グライダー」

ところで、学校の生徒は、先生と教科書にひっぱられて勉強する。自習自学ということばこそあるけれども、独学で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力で飛び上がることは出来ない。

「セレンディピティ」

もともとは、兵器の開発が目的であったはずである。それが思いもかけない偶然から、まったく別の新しい発見が導かれることになった。こういう例は、研究の上では古くから、決して珍しくない。

「手帳とノート」

何か考えが浮かんだら、これを寝かせておかなくてはならない。(中略)何かを思いついたら、その場で、すぐ書き留めておく。そのときさほどではないと思われることでも、あとあと、どんなにすばらしくなるか知れない。

「ホメテヤラネバ」

ピグマリオン効果というのがある。40人の生徒のいるクラスを20人ずつの2つのグループA, Bに分ける。(なにしろ半分は点数を返さずに「よかった」と伝えて、数回テストを繰り返す。すると、ほめていたグループの点数が上がる。これがピグマリオン効果:詳しくは本をご覧ください)

読書:日本人の足を速くする

「日本人の足を速くする」為末大・著。
1001.jpg

私は足が遅い。
誰かれかまわずに「足が速くなるには?」と聞いていた時期がある。

元陸上部の社員は、
「短距離と長距離では走り方が違うし、俺、走り幅跳びッスから」と。

元陸上部の知人(短距離選手)は、
「短距離の走りでは、マラソンは無理」と。

なんだか、これといった答えが得られない。
速く走りたーい。
弟からこの本を紹介された。

為末大さんは、世界陸上「400mハードル」で二度も銅メダルに輝いた方。「侍ハードラー」の異名を持つ。

元々は短距離走の選手で、カール・ルイスにあこがれ、世界で一番速い男になりたかったそうだ。ジュニア時代の記録は、世界的に見ても輝かしい。これなら世界一をねらえる・かも〜。

しかし、身長が伸び悩んだ。170cm。そしてとうとう高校3年生の県大会、200mで2年生に負ける。生まれて初めて負けた。挫折を通りこした喪失感。

そこからがすごいんですね。
自分の勘で、400mハードルに移行し、自分に合った走り、自分に合った練習方法を模索して確立する。

その間、何度も挫折を味わう。
例えばアメリカに渡り、アメリカ式のウエイトトレーニングを取り入れた結果、余分な筋肉が付きすぎて、記録が後退してしまう。そのことで、アメリカ式が必ずしも日本人の体系に合うわけではないという教訓を得るんですねー。

私の足の遅さを克服するのは、私なりの練習方法や走りを自分で研究するしかないかもしれない。だいいち、嘆くほど練習をしていないし>アタクシ。

コンマ何秒のために、全身全霊で挑む陸上競技。
いやー、奥が深いっすねー。
為末さん、応援しております。
オフィシャルサイトはこちら。

読書:白州正子自伝

「白洲正子自伝」白洲正子・著。
2601.jpg

著者は、あの「白洲次郎」の奥さんで随筆家。
表紙の写真は祖父・樺山資紀氏に抱かれた幼稚園の頃の著者。

最初の章に、薩摩藩士であった祖父の、若い頃のエピソードが述べられている。白洲正子は東京生まれだが、父方、母方どちらの祖父も薩摩藩士であり、自分に薩摩隼人の血が流れていることを、エピソードを交えて書いている。

とにかく、文章が小気味よい。
明治から平成へと、文字通りに駆け抜けた女性である。

華族という恵まれた境遇に生まれたことで、14歳でアメリカ留学をする。そういったことから、早くから海外へ目が向き、戦争に対しても、自分の経験から思うことを歯に衣着せぬ文章で書かれている。

この人の、他の本も読んでみようと思う。

読書:福沢諭吉の着眼塾 小林一三の行動塾

「福沢諭吉の着眼塾 小林一三の行動塾」永川幸樹・著。

福沢諭吉は日本史で習った程度にしか知らないし、小林一三については、恥ずかしながら全くの無知。副題は「いまビジネスの現場に一番必要な武器だ」

「はじめに」の中で、次のように書いている。

福沢諭吉と小林一三の最大の共通項は「女性尊重」である。

著者の言葉で印象に残るのは次の文章

たとえば、よく知られている講釈で恐縮だが、「運」という字である。この文字は分解してみればわかるように「軍(いくさ)」が「はこぶ)」とかく。つまり一般に運とは、人間の不作為や不可抗力の埒外から偶然にやってくるようにとらえられがちだが、決してそうではない。運とはみずからの運命に挑戦し、みずからの身命を賭して戦い、軍(いくさ)をしてこそその人のところに舞いおちてくるということである。

本の中では、2人を対比させながら進む。2人をちっとも知らぬ私としては、それぞれの人となりについてもう少し詳しく知りたくなった。それは別の本を読むとしよう。そういうきっかけをくれた本になった。

読書:リクルートのDNA

「リクルートのDNA」江副浩正・著。
リクルートのDNA

Webの仕事をするようになって、リクルート出身の方に出会う機会が増えた。
起業された方、個人事業主としてフリーで仕事をされている方、様々である。

「元」ということは、今はリクルート社員ではない。
元来、独立心が強くてリクルート社を選んだのか、そこに身を置くうちに独立心が芽生えるのか、いずれにしても皆さん「何かおもしろいこと」を探そうとするエネルギーがある。

そういうリクルートって、いったいどんな会社なの?

私が学生の頃、就職することを「リクルート」と言った。それだけ、その就職誌の印象が強烈であり、就職のために髪を切ることは「リクルートカット」と呼んだ。

当時、サーファーが人気で、今はメタボに悩む我々世代だが、当時は髪を伸ばして、真っ黒に日焼けして街を闊歩した。それがある日、突然「リクルートカット」となるわけ。

まだ「フロムエー」はなく、「とらばーゆ」は創刊されていたようだが、転職は特別な時代だった。この雑誌によって転職のことを「とらばーゆしちゃった」なんて言うようになったのだから、影響力は大きい。

私にとって最も強烈な印象のベンチャー企業はリクルートだと思う。転職に対する考えを変え(転職が自由に出来るようになり)、大学の就職窓口以外にも、雑誌で就職の市場を開拓した功績は大きい。そして社員が株を持ち、経営に参画するという考え方は非常に新しいと思った。

あれよあれよという間に、銀座に本社ビルを建てるまでに成長した。そして江副さんは、政治家にも大きな影響力を持ってしまう。栄光と挫折を味わったのだ。

その江副さんが考える「成功する事業家の20か条」は、理路整然とまとめられている。そして自分に対して厳しい江副氏の姿が見える。