読書:「今のインド」がわかる本

「「今のインド」がわかる本」門倉貴史・著。

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サブタイトルは「これから10年、「インドの時代」が始まる! 」
2月にインドに行くのでインドの本を読むことが増えた。私の興味は「瞑想」とか「ヨーガ」ではなく、「インドのIT」であり、現代のインドにある。

この本はまさにそういう本。

IT産業のなかで、今後、飛躍的な成長が期待されるのがアウトソーシング・ビジネスだ。(中略)インドがアウトソースの拠点として急成長するのは、アメリカで2001年9月に発生した同時多発テロ事件以降のことである。この事件を契機に、アメリカ政府が外国人へのビザ発給に制限を加えたため、それまでシリコンバレーなどに出稼ぎに出ていた優秀なインド人IT技術者がインド国内へ回帰し、(略)

カーストのこと、宗教のこと、それらが密接な関係を持っていることなど、表向きと現実の違いなどをあわせてわかりやすく書いてある。

それにしても、IT分野における技術力が高く、英語が話せて、それでいて安い労働力とあっては、日本を含む先進国は太刀打ちが出来ない。ただし問題点もあるわけだ。それらを含めて、サブタイトルにあるように「これからの10年」は、インドから目が離せないと思う。

読書:徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話

「徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話」徳川宗英・著。

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著者は、田安徳川家十一代目当主。
そういう方が書く「内緒話」だから、期待が膨らむ。
書店で手にとって開いた最初のページには次の記載。

私の母は、「徳川」という名前はずいぶん重荷だったらしく、晩年に書いた自叙伝では、「いっそ<川徳>という名字に変えられたらどんなに気が楽だろうと思ったこともありました」と告白していました。

ここを読んで「内緒話」としての期待がふくらみ買い求めたのだが、実際には「内緒話」というよりは、他の本で知っていることが多くて、少しがっかりした。多くのページは将軍家の事について書いているし、ご本人も、直接ではなく書物等で知ったことのようである。

ただ、少しではあるが「田安徳川家」としての記述があり、これまで御三卿については、その名前を知るだけだったので、興味を持つところとなった。それは主に「第六章 わが田安家のヒミツ」にある。

現在、武道館があるあたりが、かつての田安館があったところらしい。(中略)皇居の北の丸にはずいぶんきれいになった田安門がある。

田安門を意識をして見ることがなかった。今度、その辺に行く時にはちゃんと見てみたいと思う。

徳川の正しい字は、横棒が1本入る
「徳川」という名字は、本来、旧字の「德」という文字を使う。戸籍でもそうなっており、これは私の家だけではなく、宗家も徳川慶喜家もみな、旧字の「德川」が正しい。

へぇー、そうでしたか。

きっと、この本には書いてないだろう、本当の「内緒話」もあるのだろうね。そういう期待感が徳川家にはあると思う。

読書:仕事は「ワガママ」を通せ!!

「仕事は「ワガママ」を通せ!!」竹内一正・著。

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副題は「iPod成功の法則」。
「iPhone」と名が付いてると読んじゃう(^ー^)。

著者の竹内氏は、松下電器を退社後にアップルコンピュータに入社し、その後は、日本ゲートウエイへと、この業界を華麗に転身している方。

冒頭に次のような文書がある。

この本は、iPodを生んだスティーブ・ジョブズのビジネス史でもなく、メガヒット商品の開発秘話でもない。身近な仕事術の本である。

スティーブ・ジョブズの華やかな経歴とどん底の時代を書き、そして誰にでも起きるような話を織り交ぜながら話は進む。

あるテニスプレーヤーがこう話してくれた。「ヘタな選手と上手な選手がプレーすると、ヘタな選手は上達するが、逆に、上手な選手はヘタになる。

会社の配置においては、この事を十分に考慮しないといけないのであります。

iMacには、ジョブズのたくさんのこだわりが込められている。(中略)高精細ディスプレイを備え、静かで(ファンレス)、わずか15秒で起動する。すぐれものである。だが、同業他社の多くは、こうした性能ではなく、iMacのファッショナブルな外観にばかり目を奪われてしまった。

Macを愛する人達は、ジョブズがこただわっている部分を共感出来る人達だと思う。iMacが「静か」という点にこだわったのは、その前のG4マシン(QuickSiliver)が美しくて高速だが「うるさい」と言うクレームが多かったことによると思う。QuickSiliverユーザはそのクレームを(愛を込めて)アップルにフィードバックした。だからMacは、アップルとMacを使う人達が作り上げているような気持ちにさせてくれる。

私がなぜMacを使うかと言えば、それは「フォントの美しさ」を第一にあげる。フォントの美しさは、すべてのアプリケーションに共通する大事な要め。

リード大学は、最高の文字芸術の授業を行っていた。私は中退していて自由だったから、装飾文字について学ぶことにした。(中略)科学ではとらえられない芸術的繊細さが、とても魅力的だった。

フォントの美しさは、多くのクリエイターを魅了する。だから、デザイナーの多くはWindowsではなくMacを使い続ける。

本の中でソニーの井深さんの言葉を引用している。

「開発に成功するまでに一のエネルギーが必要だとすれば、商品を試作するのに10倍。それから商品化するのに100倍。最終的に利益が出るまでには、1000倍はかかる。」(中略)どれほどすぐれたアイディアがあり、どれほそすぐれた技術を持っていたとしても、実行に移そうとする上司がいなければ、結局はただのアイデア倒れに終わってしまう。

この見極めというのか、直感というのか、それを磨くのは何だろうか?天性なのか?努力なのか?

自分ができないのならば、できるヤツと組め

できるヤツもやっぱり相手を選ぶわけでして、なかなかどうして、これも難しいのが実情。それでも私は「自分は出来ないこと」は「出来る方にお願い」するという事にしており、ここを徹底していくのが私に合った方策かもしれない。

読書:ジャズの歴史

「ジャズの歴史」相倉久人・著。

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このごろ、ジャズのセッション(超初心)に参加している。
でも、考えてみると、私、ジャズの事、何もわかってませんからー。

それで、この本を読んでみた。
最初の方には、まずはヨーロッパとアフリカの文化が出会うことになったのは、

1619年にオランダの軍船がはじめて20人の奴隷をつれてきたのをきっかけに、以後200年を越える奴隷貿易で……….

だが、それですぐにジャズが誕生するわけではない。

なにしろ最初のジャズらしいジャズがあらわれるまでには、3世紀近いときが必要だったのですから。

この本は入門として書かれているので、著者は深いところに入っていきたいけれど、それを押さえて、なにしろ体系的に書かれている点、入門者にはわかりやすい。

これまで耳にしたことがある「ハード・バップ」とか「クール」とか、まぁ、そういう事もよくわかってない私にはとてもためになり、あっという間に読み切った。そういうことで曲を聴いていくと、またおもしろくなりますのー。

読書:新ゴーゴー・インド

「新ゴーゴー・インド」蔵前仁一・著。

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来年2月にインドに行く。
神秘の国インドー!
でも私、、、勝手なイメージを持ってるだけで、インドのこと何もわかってないですからー。

ってことで、この本を読む。

著者はイラストレーターという仕事を2週間休んで10日間のインド旅行に出る。

初めてのインド旅行は10日間だった。わかったことは何もなかった。
(中略)
だが日本に帰り着いて、困ったことが起きてしまった。(中略)誰かが「それはインド病だよ」と言ってくれた。何もかもが変なのである。

そこで、とうとう仕事を辞めて長期旅行に出てしまうんですね。
文字通りの貧乏旅行。

僕がインドに行く以前に持っていたインドのイメージは、恐ろしくきたなく、病気が蔓延していて、人々は飢えて死に、ろくな食い物がなく、そして死ぬほど暑く、水を一杯飲んだだけで即コレラにかかってしまいそうな、そんな恐ろしい国であった。
(中略)
実は1年間インドを旅した僕も、それを完全に否定することは出来ない。それどころか、もっとヤバイことだっていっぱいあった。

うーむ、、、(絶句)

インドは確かにキタナイ。恐ろしくキタナイ。カルカッタ(現コルカタ)なんか、あまりの不潔さにめまいさえ起きるし、病気もそれこそウンザリするほどある。

うーーーーーむ、、、、(絶句)

私、汚いトコは苦手ですぅー。
でも、なぜか行ってみたいインドー。行かないで死んでしまったら後悔しそうなインド。恐いもの見たさか。

本は全体に著者が書いたイラストを盛り込み、著者の失敗をおもしろおかしく書きながら、現地で出会った様々な出来事、たとえば日本人が麻薬中毒に苦しむ様も描き、私のような初めてインドに行く人間にエールを送ってくれる。

そんなインドが、IT業界では注目されて久しい。そのギャップが不思議でしょうがない。それは自分の目で確認して参ります。

読書:走ることについて語るときに僕の語ること

「走ることについて語るときに僕の語ること」村上春樹・著。

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村上春樹が好きな時があった。ワオ、20年前だ。
「ノルウェイの森」を一気に読み、それから前にさかのぼって読破。それがいつの日にか、読まないでいた。たぶん、私が読む本がビジネス本に傾倒したからだろう。

このまわりくどいタイトルが村上春樹らしいなとニヤリとしたが、これは村上氏が好きな「レイモンド・カーヴァー」という人の短編集のタイトルを使わせてもらったと記してあった。

これほど、ピタリとくるタイトルが他のところにあったとは。
村上氏が「走る」ことはあまりに有名だが、彼は1982年から走り続けている、そして、、、ある年齢からタイムが伸びなくなる。もっと言うと、後退する。それまでに経験した事のない世界に突入する。

そういう事は、あまり書きたくない事だろうと思うが、この本ではその切実な思いが、きちんと丁寧に書かれている。走ることと年を重ねること。

私は走り始めてまだ間がないから、今は成長期だが、他の分野では自分の減退を感じることは多々ある。それとどう向き合えばいいのか。

そして村上氏がある大会に出て時の目標「ゴールインすること、歩かないこと、それからレースを楽しむこと」私も同じです。最後の「レースを楽しむこと」は、これまで考える余裕すらなかったが、ここの文を読んでハッとした。「楽しむ」これが本当は大事なんだなー。

読書:徳川将軍の意外なウラ事情

「徳川将軍の意外なウラ事情 」中江克己・著。

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この頃、歴史がおもしろい。
「徳川将軍家十五代のカルテ」を読んでみて、そういえば学校で学ぶ江戸幕府は、せいぜい、家康、家光、家綱、吉宗、慶喜あたりをサラリとやる程度だったことに気づき、もっと読んでみたくなった。

この本、おもしろい。
タイトルの付け方が疑問調なのだ。

例えば「第1話 家康はなぜ「徳川」を名のったのか」から始まる。
最後は「第80話 江戸帰還後、慶喜はどうしたのか」で終わる。

すべての将軍に対して疑問のタイトルが付いている。読んでいると、あーあ、徳川将軍のなーんにもわかってないんだなぁーという実感。今の時代とは違って、子供が生まれても元気に育つ確率が低い。本家にお世継ぎがない時のための、御三家であり、御三卿という制度。

それらが出来上がる事情が興味深く描かれている。これを読むと、またさらに徳川の時代を読んでみたくなるから不思議だ。

読書:会津藩 vs 長州藩

「会津藩VS長州藩」星亮一・著。
副題は、なぜ”怨念”が消えないのか

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ある飲み会で、「○○さんは会津だからなー、○○さんは長州だろ、うまくいくかなー」みたいな会話があった。
私:へ?(何言ってんだろうー?)

恥ずかしながら、その会話によって、21世紀になり、平成の世になった今日においても、会津藩と長州藩は、あの戊辰戦争による爪跡が深く刻まれていることを知った。

そんな折り、書店で手にしたのがこの本。
会津藩は、徳川の第二代将軍、忠家が側室に生ませた「保科正之」が 初代藩主を務める。そういうことから会津藩が幕府に対する忠誠心は、他の大名達とは全く異なるらしい。

長州藩は、あの関ヶ原の戦いにおいて、西軍の大将・毛利家であったわけで、徳川家に対する怨念がある。

その2つが幕末に、グイと引き寄せられた。
おもしろくてグイグイと引き込まれる。

ただ、それが第二次世界大戦を経た今日にまで及んでいるとは思わなかった。著者が書いているように、誤った認識が両者の間の溝を深くしてしまったようだ。

ただ、つい先頃、いくつかの言い伝えは「誤解」であったことが判明してきたらしい。きちんとした裏付けから事実を導きだしてほしいと思う。

そういえば、まだ会津も長州も行ったことがないなー。

読書:ザ・ニューリッチ

「ザ・ニューリッチ」ロバート・フランク・著、飯岡美紀・翻訳。
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副題は「アメリカ新富裕層の知られざる実態」
著者は、ウォールストリートジャーナルの記者。アメリカのニューリッチに密着取材して、その実体を書いている。

それまでのお金持ちと、最近の「新富裕層(リッチスタン人と呼ぶ)」との違いがおもしろい。リッチスタン人は積極的に消費する。だから、自家用ジェット機や、大型クルーザーが売れる時代。お金で何でも買える。

ところが、おもしろいことに「消費のおかげで以前より幸せになった」と感じている人は全体の半分にも満たないという。

さらに意外なのは、資産100万ドル以上の層の10%(女性に限れば16%)が、資産は問題を解決するより、むしろ問題を増やしていると答えていることだ。

人間は、今の収入の2倍を希望するというところもおもしろい。
年収500万円であれば1,000万円あればなーと思うだろうし、1億円あっても、あーあ2億円あればなー、と思うものかもしれない。

読書:キラーウェブ

「キラーウェブ」前野智純/株式会社エクストラコミュニケーションズ・著。
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副題は「儲かるウェブの裏側」
最近では気軽にECサイトを始めることが出来るし、ビックヒットを狙う人も多いと思うが、そういう方は読んでみるといいかも。

大企業であってもネットで収益を上げるためには、リアルと同様に努力の繰り返し。投資する金額をどのように捻出するか、いざ開設した後も勉強、勉強。これを読むと安易にECサイトには手を出せないかもしれないかも。

キラーウェブと言われるサイトも、多くの挫折を繰り返していて、それをどのように乗り越えたかという点。人間はとかく成功した部分だけを見たがるが、成功の裏にはいつも七転八倒がある。

大企業では、クロスメディアといって放映とネットとを行ったり来たりしながら、それぞれの媒体を研究して最も効果が出るような工夫を手探りで探し出している。今はみんなが手探り状態。

ファイブミニ、ケンコーコム、無印良品、イーブックオフ、ライフカード、日本コカ・コーラ、ゴルフダイジェスト・オンライン、Oisix、アンジェ……etc。

成功の影には、たゆまぬ努力がある。当たり前の話だが。