読書:海馬ー脳は疲れない

「海馬ー脳は疲れない」池谷 裕二、糸井 重里 ・著。

脳の研究をする学者である池谷さんと糸井さんの対談がまとめられた本。
「脳」の話は、私の最近の関心テーマ。

IT業界は若い人が多い。私も若い人とともに頑張りたいから、脳を活発に動かしたい。しかし現実は…、 記憶力、理解力、集中力、瞬発力、あらゆる点で若い時のようにはいかない。その一方で、経験に基づいたひらめきは年を重ねるごとに増えている気もする。
そういった事を池谷さんは糸井さんを相手にわかりやすく、そうして興味深く説明している。

この本を読むのに時間がかかってしまったのは、「これ!」と思ったことを社員に読んで聞かせたりしていたから。40代に嬉しい言葉がある。1章ごとに「まとめ」があるのも嬉しい。「盲点」の実験はおもしろくて、社員達にも試してもらって楽しんだ。

30歳を過ぎてから頭はよくなる。
脳の本質は、ものとものとを結びつけること。
脳は疲れない。
人間はいちどに七つのことしか覚えられない。
何歳になっても海馬の神経細胞は増えている。
旅は脳を鍛える。

読書:できる人の書き方

「できる人の書き方」樋口裕一・著。

私は仕事でメールを書くことが多い。
なのに、私の文章力はダメダメよーん。
書き終わった直後は「結構いけてる?」と思うけど、少し時間を置いて読むと「わかりにくーい」の。ダメじゃん。

わかりやすさを最優先。
4部構成(問題提起、意見提示、展開、結論)すること。

読書:道をひらく 続

「道をひらく 続」松下幸之助・著

私は、なぜ今まで松下氏の著書を読まないでしまったんだろう。松下氏は経営の神様と言われるが、この本を読むと、哲学者であり、(誤解を恐れずにいえば)何かの宗教の教祖様のようでもある。人を惹き付ける魅力はすごい。
誰にでもわかる、やさしい言葉の文章は、声に出して読みたくなるようなリズムがある。日本語(の使い方)がまた美しい。PHP研究所の松下幸之助のシリーズは全部読もうかな。

読書:ザ・プロフェッショナル

「ザ・プロフェッショナル」・大前研一・著

大前氏の本は初めて読んだ。評判が高いが、正直言うと、少し拍子抜けしている。当たり前のことが多く、特に目新しさを感じないでしまった。私の読みが浅いのかな? まぁ、それでも、私にはおおいに参考になる。

顧客に対してやらなければならない仕事を100とした時、部下がやれるレベルが X だったら、「100 – X = 自分の仕事」と心得ている人が真のマネジャーです。

なるほど、この定義はわかりやすい。
テレパスの従業員は若い。若い上司に若い部下がつくので、やりにくいだろうと思う。若き上司に対する私のアドバイスも明確ではないな~。これを参考にしたい。

プロフェッショナルはいつも顧客のことを考えなければならないのです。

私がいつも言ってることと同じ。私が言っても説得力が欠けるが、大前先生が言ったとあらばと、納得してもらおうかな(笑)。おっと、さらに続く。

マッキンゼーにおける規律とは、繰り返しますが、「顧客を最優先に考え、最高の価値を届ける」ことです。

「マッキンゼーの規律」と私が言うことが同じとは嬉しいが、え、これって当たり前のことでしょ? あー、でも次が違うのね。

この規律とは「up or out」すなわち「昇進しない人間、伸びていない人間は去れ」というものです。

くは~、厳しい。この厳しさの点で私は劣る。私って優し過ぎ(笑)マジで。

毎年20%が退社するわけですから、同期の桜が100人いても4年後には20人になります。これがルールであり、顧客に迷惑をかけない唯一の方法だということを知っているからです。

なるほど。

ビジネス・プロフェッショナルに「妥協」の二文字は厳禁です。

テレパスには「妥協しないヤツ」がいる。彼は自分に厳しいが、人にも厳しい。私にも厳しい。が彼の仕事っぷりには感心する。私も見習いたい。

マッキンザーの議論では「What’s new?(何が目新しいのか)」、「So what?(それがどうした)」というフレーズが飛び交います。

構想する力、議論する力の大事さを書いている。

そもそも「discuss」という言葉は、否定を意味する「dis」と、恨むという意味の「cuss」が合体した言葉です。要するに反対したり反論したりしても「恨みっこなし」というのがディスカッションの本来の意味なのです。

GEの元会長・ウェルチの話など興味深い話が続く。あとは本を読んで下さい。当たり前だが大事なことがたくさん書いてある。

IQとEQ、あるいは左脳と右脳の相互作用という第三の領域について考える必要があると私は思っています。つまり、左でも右でもない新しいものを考えつき、かつ事業を創り出す能力、EQもIQも超越した総合力としてのプロフェッショナルな人物像ーこれこそが、21世紀の見えない世界を切り拓く能力です。

近頃の「マンションなどの耐震強度偽装問題」でプロらしからぬ一級建築士の仕事っぷりを聞くにつけ、「プロとは何か」を再確認するためにもタイムリーな本。

僕の感性

週刊ダイヤモンド」の特集「上司のストレス 部下のストレス」が興味深い。

今の32歳前後をに境界線がある。それより上の世代にとって働くことは当たり前で、その意味を問う必要はなかった。一方、それより下は意味がないと働けない。

思い当たる。

70年代生まれを境目に自意識や依存傾向を特徴とした自己愛型うつの比率が増加していると、専門家のあいだで指摘されている。

自己愛型ね~。

「うつ病」の定義として、「まじめで責任感が強い完璧主義の人がなりやすいといわれているが自己愛型は違う」という指摘がある。
「僕の感性にフィットしない」と、突っぱねる部下。

感性で語られると難しいぜいよ。おばさんには(笑)
いや待てよ。おばさんにも若い頃には有り余る感性があったはずだワイ。今はどうなんだろう? やっぱあるよね。感性はさ。だからこそ、感性が異なる者同士が集まり、刺激し合うことがおもしろいと思うの。

読書:ひらがなで考える商い(上・下)

「ひらがなで考える商い(上・下)」伊藤雅俊・著。

著者はイトーヨーカ堂の創業者。前身の羊華堂(ヨーカ堂)は兄が創業した。伊藤さんは戦前は少しだけサラリーマンの経験をするが、戦後は北千住に移った「羊華堂」で母と兄と下で働く。2坪の洋品店。母から商売を一から叩き込まれる。

お客様は来てくださらないもの
お取引先は売ってくださらないもの
銀行は貸してくださらないもの

一番大切なのは信用であり、信用の担保は、お金や物ではなく、人間としての誠実さ、真面目さ、そして何より真摯である。

商人は自由人であり、商人には高い志が必要である。

イトーヨーカ堂は大企業へと成長したが、その過程で、経営目標をかかげたことがない、というのだ。これは意外。一つ一つの積み重ねで、たまたまこうなったというのだ。

松下幸之助さんに「人材」について伺った時のこと、松下さんがおっしゃった言葉で強く印象に残っているのは
「伊藤さん、町工場に東大出の人が来たら、それは人材でっか」町工場で欲しい人と、大会社で求める人とは、必ずしも同じではない。
松下さんは「あんまりインテリが集まりすぎている会社は、発展しない」とも言われた。思慮分別のかたまりになると、冒険するエネルギーがなくなり、頭を垂れる商売人の精神が乏しくなるということなのだろうと思います。

「大企業病」という言葉があるが、まさにインテリが多くなりすぎた弊害なのかもしれない。

「おかげさまで」という心。
母は毎日のように言っていました。
「ご近所あっての羊華堂だから、周りにほこりを立てないように打ち水をしなさい。そして何よりもお客様を第一に考えなさい。お客様あっての羊華堂ですから」

これが日本に伝わる商売の心得だと思う。私は古いと思われてもかまわないから、この精神を受け継ぎたい。

読書:採用の超プロが教える伸ばす社長つぶす社長

「採用の超プロが教える伸ばす社長つぶす社長」安田佳生・著。

著者は株式会社ワイキュープの社長。上場以外の会社でありながら学生の就職人気ランキング・トップ10に入る会社。その自由で独特なオフィスはTVで取り上げられる。
同著者の本では「採用の超プロが教えるできる人できない人」も、鮮やかな切り口だが、この本は社長にグサリと提言する。

難しいのは会社をつくることではなく、つくった会社をつぶさないことだ。

ホントそう。創るのは簡単だが、継続させることは難しい。

企業はまぎれもなく「人」で決まる。
(社長は)優れた人材観を持っているだろうか。

「人材観」と改めてきかれると明確に答えられない。もちろん、漠然とはある。いまいちど、吟味する必要がある。

人は育てるものだと思っている社長は多い。

ハイ。思ってます(笑)
ところが「どんな人材でも教育さえすればなんとかなると考えるのは大きな間違いだ。」最近、このことに気づき始めた。

社長にとってもっとも必要な能力、それは営業力ではなくマーケティング力である。営業出身の社長は、現場で売るのが得意なので、当初は売上をガンガン上げていく。だが、社長個人の営業力に頼っていると、遠からず限界が来てしまう。

安田さん自身が陥ったことだそうだ。ベンチャー企業が多い(私のところも例外ではないだろう)。

読書:プロ経営者の条件

「プロ経営者の条件」折口雅博・著

著者は、日商岩井(現・双日)社員だった1991年当時、伝説のディスコ「ジュリアナ東京」を企画・運営し、退職後は「ヴェルファーレ」をオープンさせる。そしてグッドウィル株式会社を起業し、株式会社コムスンを傘下におさめ、グッドウィル・グループ株式会社のCEOとして成功する若き経営者。六本木ヒルズにオフィスをかまえるヒルズ族。私と同じ1961年生まれ。

この華やかな経歴から想像したものとは裏腹に苦労があった。
父親の会社が倒産すると、それまでの坊ちゃん育ちから一変して、生活保護を受けるまでの苦しい生活を経験する。
中学生の時には高校生と偽ってアルバイトをし、高校は「陸上自衛隊少年工科学校」に入学し、厳しい訓練を受けながら勉強をする。給与が出るので、それを家に仕送りをする。著者は貴重な(そして少ない)自由時間に猛勉強をし、防衛大学校に進学する。「ジュリアナ東京」からは想像出来ない経歴の持ち主だった。気仙沼でヌクヌクと生きていた私は複雑な思い。

著者は成功は「運が良かった」のではなく、なるべくしてなったと言う。著者が「センターピン理論」と名付ける理論があって、ディスコのセンターピンは「いつも賑わっている」こととして徹底した。そうして大成功へ。

しかしながら、「ジュリアナ東京」が大成功したにもかかわらず、著者は4000万円の借金を背負うことになる。その借金は7000万円にまで膨らむ。普通ならば、ここで挫折するだろう。しかしながらこれを乗り切るところがすごい。

コムスンは、13の拠点から一気に1200までに増やすことに成功した。その「スピード」については「完璧症候群をなくす」としている。9割出来てから次へ行くのではなく、7割の出来で次へ進むという理論。他にも随所に「スピード」に関する考え方がある。

著者が「介護ビジネス」に参入した時に「(あのジュリアナ東京の人が)それは、またどうして?」と思ったが、それは父の介護にあった。私も経験したが、介護が必要な人であっても、(家族以外の)他人の前ではシャンとしようとする。家族には甘えてしまう。家族は介護による疲労が蓄積され、悪循環に陥る。「介護をビジネスにするのは難しい」言われるが、介護ビジネスは必要なことだと私も思う。いろいろと考えさせられる1冊だ。

読書:ソニー本社6階

「ソニー本社6階」竹内慎司・著

ソニーは日本のベンチャー企業を志すものにとって、あこがれのブランドである。そのソニーが、このところ良い話を聞かない。つい先頃は、SONY BMGのCDに搭載された「rootkit」問題が広がっている。マイクロソフト社もこの対策に乗り出し、今後、どのようになっていくのか動向が気になる。

ソニー本社6階の「経営企画部」に配属された著者が、「なぜ、ソニーがこうなっていったか」を冷静に分析して提言している。

ソニーは創業者が「自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場」と掲げた。なんとも魅力的な言葉だ。著者はこの言葉に魅せられて就職を決める。競争率の高いソニーには、著者のように優秀な人が大勢、採用されただろう。
しかしながら、ソニー生え抜きの上司よりも、中途採用された上司の言葉が著者の心に残っているというのは、なんとも皮肉な話に聞こえる。

私たちがソニースピリッツとして尊敬していたものは、創業者とともに消えてしまったのだろうか?
いや、そうは思いたくない。
けれど、後々までスピリッツを受け継いでいくことが、いかに大変かということはわかる。

以前読んだ「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」も今回の「ソニー本社6階」も、著者はその企業を愛している。だから、単なる暴露本ではなく、「再生して欲しい」という気持ちが出ている。企業も生き物であり、時には病気もする。その回復力を付けるために日々、精進しなければならないのだと強く思う。

もう一つ、、、本当にその企業のことを愛しているならば、内側から改革をすべきだと、私は思う。私はサラリーマンの経験がないから、呑気にそんなことを言えるのかもしれない。それはわかっている。それでも、改革は内側から起こささないとダメなんだ。