「帝王学」山本七平・著。
サブタイトル:「貞観政要(じょうがんせいよう)」の読み方。
漢字がたくさん出てくるからか? なさけないかな読み終わるのにだいぶ時間がかかってしまった。
中国・唐の2代目皇帝・太宗(たいそう)は名君だそうで。その太宗が、「こういった」「ああいった」ということを、呉兢がまとめたとされているのが「貞観政要」である。
「貞観政要」の読み方をまとめたのがこの「帝王学」。
徳川家康、北条政子(おそらくは源頼朝の影響)らが「貞観政要」を教科書としていたようだ。
最初に「創業と守成いずれが難きや」というサブタイトルがある。これは「貞観政要」の次の太宗の有名な質問らしい。
貞観十年、太宗、侍臣に謂(い)いて曰く、帝王の業、草創と守文と孰れ(いずれ)が難き、と。
創業した人なら誰もが「守成」と言うのではないだろうか、と思いつつ読み進めると、この質問に、房玄齢と魏徴は、まったく異なる意見を述べる。それに対して太宗は、
房玄齢は、私と共に乱世に打ち勝つのに大変苦労した。その経験があるから創業が困難だと見るのだろう。一方魏徴は、平和の持続と政権の維持を私と共に勉め、驕(おご)りと逸脱の兆候があれば必ず危険に遭遇すると常に考えている。これが守文(維持)の方がむずかしいと考える理由であろう。共に一理あるが、今や創業の困難の時は去った。これからは守文の困難さに、諸君とともに慎重に対処したいと思う、と。
名君と言われた人の言葉の重みと、いつの時代になっても古くささを感じない内容は、また、時を経て読んで、さらに理解を深めたいと思う1冊。