読書:中村天風と植芝盛平 氣の確立

「中村天風と植芝盛平 氣の確立」藤平光一・著。
氣の確立

先日・読んだ中村天風の書が印象に残る中、タイトルに引かれて購入。
合気道の創始者・植芝盛平と中村天風のいずれの愛弟子でもあったという藤平氏は、植芝氏から「リラックスする」ということを学び、中村天風の「心が身体を動かす」ことに学んだとのこと。「氣の研究会」の創始者でもある。

氣の呼吸法
1. まず肩を上下して、一番楽に肩を上下しやすい位置を探す。その位置で手を太ももの上に軽く置く。
2. 「あ」の口の形で口を開き、息を正面に向かってまっすぐ吐く。
3. 吐く息が十分に静まったら、上体をわずかに前へかがめ、残りのかすかな息を無理なく静かに吐き出す。
4. 体中の息を吐き出したら、わずかに前傾したまま、鼻先から息を吸い始める。
5. 足の先から順番に、腰、腹、胸、頭部と順番に空気が満たされるイメージを持つ。十分に吸ったら、上体を頭を起こして、また吐き始める。

これを繰り返す。まずは一日15分でいいから、始めてほしい。

読書:君に成功を贈る

「君に成功を贈る」中村天風・述。
君に成功を贈る

以前、ある方から「オヤマさん、是非、中村天風の本を読んでご覧なさい」と言われて、すぐに本を買ったものの、なぜだか読まずに積んでいたのを見つけて読んだ。
これはっ ! この人はすごい人です。
私が経営の神と思っている松下幸之助氏もまた、中村天風に影響されていたんだ。

明日死を迎えるとしても、今日から幸福になって遅くない

人生は、何をおいても、体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力の六つの力をつくらなければいけないんです。
力は学問や経験でできるものではありません。ただ、ひとえに心の態度を積極的にする以外に方法はないんであります。
だから私の哲学は、「いかなる場合でも、心の力を落としてはならない。終始一貫、積極的な心の態度をもって人生に行きなさい」というのが、プリンシプル(原理原則)になっているのです。
私はいつも言います。「天は自ら助くる者を助く」。

天風会の公式ページはこちら。

読書:オンリーミー

「オンリーミー」三谷幸喜・著。
オンリーミー

部屋を整理していたら、だいぶ前に買ったのに読まないでしまった「オンリーミー」を見つけて読んだ。三谷幸喜の初めてのエッセー。これがおもしろいのなんの。

私が読書する場所は通勤電車かランチしながら。必ずまわりに見知らぬ人がいるというシチュエーション。

その中で、笑いを我慢しながら読むことの、なんと腹のよじれることか。
昨日の朝の通勤電車では、顔を手で覆って、泣くふりをして笑った。涙がとまらない。ヒーヒー。そんな私はかなり異様で、満員電車なのにまわりの人が引いた。あまりの苦しさに続きを読めずにヒーヒー。

いま現在、辛い思いをしている人は読んでみるといいと思います。元気が出ます。

読書:アメーバ経営

「アメーバ経営」稲盛和夫・著。
アメーバ経営

京セラ・名誉会長・稲盛氏の著書。

会社の組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団に分け、社内からリーダーを選び、その経営を任せることで、経営者意識を持つリーダー、つまり共同経営者を多数育成した。

どうせ大企業の話だろうと思う方もいらっしゃると思う。私もそう思った。だって、別段「小集団」に分けなくても、最初っから「小集団」でしかない零細企業には当てはまらないのではないか?

ところが稲盛氏は、家族だけで経営している食料品店を例にする。

店はさほど広くないのだが、野菜、魚、肉を販売しており、乾物や缶詰、インスタント食品などの加工食品まで取り扱っている。客が買い物をすると店主は店先につるしたザルに代金を入れ、おつりを渡す。(中略)

この店の例であれば、野菜、魚、肉、加工食品の四つの部門に採算を分けて計算してみる。集計するのがたいへんならば、売上のお金を入れるザルを四つ用意すればよい。(中略)

そのうえ、「長男は野菜担当、次男は魚担当….」と責任分担を決めておけば、さらにきめ細かい経営ができる。

その場合に大切なことは売上だけではなく、経費をも自分達で管理するしくみ作りだ。
利益は、売上から経費を差し引いたもの。
それであれば、売上だけではなく経費を管理する必要がある。そこがポイント。

稲盛氏は、人件費は経費から除外してもらっていると言う。なぜなら人件費を経費に含めると安い人材を登用し、高い(能力のある人とイコールになる)を敬遠しがちになる。それは本意ではないという。

この辺りに大きなノウハウがあるように思う。

読書:やっぱり変だよ日本の営業

「やっぱり変だよ日本の営業」宋文洲・著。
やっぱり変だよ日本の営業

ソフトブレーン株式会社/創業者・宋氏が書いた本。
おそらく日本人の多くの人も「変だよなー」と思ってはいるけれど、それを打破しないで繰り返していることは多い。それを「こういった点」とか「ああいったこと」と具体例で指し示している。

以前、テレビ東京「カンブリア宮殿」で宋氏を見た。

「残業をしない」ために徹底的に無駄を排除する。この姿勢を見習いたい。宋さんという人をよく知らないが、決して順風満帆だったわけではなく、むしろその逆の人生を歩んでいる。北海道大学の大学院を出た後、勤めた会社が2ヶ月で倒産してしまい、そのことで起業を考えたようだ。人生って不思議だね。

ソフトブレーン社の代表的なソフト「eセールスマネージャー」は、自社の営業の管理をするために作りだされたことをこの本で知った。自分にとって使いやすいものは、世の中の人のためにもなる。儲けを先に考えるよりも、何が役に立つのかを考える。私の身の回りにも「ちょっとしたアイディア」は転がっているはずだなぁ〜。

読書:ビジョナリー・カンパニー

「ビジョナリー・カンパニー 」ジェームズ・C. コリンズ、 ジェリー・I. ポラス・著作、山岡 洋一・翻訳。

ビジョナリー・カンパニー

経営者の必読書。前々から気になっていた本をやっと読んだ。すばらしいー。うーん、なぜもっと早く読んでいなかったか…。

ビジョナリー・カンパニーは邦題で、英語のタイトルは「Built to Last:」。
ビジョナリー・カンパニーを次のように定義している。

ビジョナリー・カンパニーとはなんだろうか。ビジョンを持っている起業、未来志向の起業、先験的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業である。

そういった会社になるために何が必要かを書いている。それは経営の学者達が説いているような内容とは異なっていることがおもしろい。最初の方に「十二の崩れた神話」と題して、いかに定説とされているものが実体と異なるかを書いている。例えば…

神話1:すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイディアが必要である。
神話2:ビジョナリー・カンパニーには、ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である。

こういった事が12項目ある。それらは定説と考えられていただけに驚くばかり。また時間を置いて繰り返し読みたい1冊だ。その時々で新たな発見がありそー。

読書:上司は思いつきでものを言う

「上司は思いつきでものを言う」橋本治・著。
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数ヶ月前のTMUGの帰り道、この本の話になった。話しているのは若い方々で、皆さん上司がいらっしゃる。

皆さん:「ホント、上司って思いつきでものを言うよね」
私  :「そうなの?」
皆さん:「そうそう、かくかくシカジカ、こんなこともあるよー」
私  :グサリ、痛タッ。まるで私の事を言われている〜。

実はテレパスでも「オヤマさん、思いつきで言わないでくださいよ」とか「我々の身にもなってくださいよ」と言われることはシバシバある。

この本の事は気にはなっていた。
やっと読んだ。

・・・・・・・・・・・反省しております。

この本は、そんな上司がどうして「思いつきで言っちゃうのか?」と「それにどう対応していけばいいのか?」など参考になることが多い。

そして最後には儒教のお話になる。
日本の儒教の流れは、そういえば何もわかってなかったと、この本を読んで思う。最近、年を取ったせいか日本の歴史に興味がある。

そして、「もう思いつきで言わないことにした」と社員に宣言した。
すると、「思いつきで言わないオヤマさんは、オヤマさんらしくない」と意外なお言葉。それって思いつきで言っちゃってもいいのかなー?w

読書:若き数学者のアメリカ

「若き数学者のアメリカ」藤原正彦・著。
若き数学者のアメリカ

この本はアメリカ旅行の際に持参し、1ヶ月以上かかって、やっと読み終えた。途中で技術系の本を読んでいたために進みが悪かったが、内容はおもしろい。

藤原さんが1972年にアメリカの大学に研究員として単身で行かれた時の様が実に正直に語られている。ここまで書いていいのーwと思う。ラスベガスで熱くなっちゃってお金がなくなったところを、ラスベガスから帰る飛行機の中で読み、あー、行く前に読むべきだったw。

藤原さんのように英語が出来る人でも、英語がわからずに四苦八苦することや、どうしてアメリカで少々、鬱病のようになってしまったかが、きちんと書いてある。そしてまた、どのようにしてそういう事から抜け出たかという心の動きが鮮やかに描かれる。

この当時は一般的な日本人がアメリカには住むことが少なかったけど、その後、海外に増え続ける海外移住者は、この本は参考になるのではないだろうか。時代を経ても色あせることはない。

読書:シリコンバレー精神

「シリコンバレー精神」梅田望夫・著。
シリコンバレー精神

「ウェブ進化論」が大ベストセラーになった梅田氏の文庫本。
梅田さんはたしか私と同世代。読んでいると、梅田さんがどういう事に驚き、共感していくかという点は同世代という点では、とてもよくわかる。

この本は、もう少し前に出版され、内容として1996年秋〜2001年夏のことを書いている。文庫本を発売するにあたって、あらたな「あとがき」が追加され、その後に起きた出来事にも軽く触れている。例えば2006年のライブドアの問題や、梅田さんが「はてな」に関わっていることなど。

梅田さんがシリコンバレーに移住してからのこの10年はネットは劇的な大変革だった。その時代にたまたま関わることになった梅田さんが書いていることは非常に興味深い内容だ。これからの10年はどうなるのか? ワクワクしながら、私は本日・成田からシリコンバレーに向かう。現地の空気を少しでも感じ取れれば幸いです。

読書:オープンソースがなぜビジネスになるのか

「オープンソースがなぜビジネスになるのか」井田昌之・進藤美希・著。
オープンソースがなぜビジネスになるのか

最初に次のような記述がある。

オープンソースを大きく躍進させたのは、その代名詞ともなっているリナックスです。(中略)しかし、オープンソースを語るうえで、もう一人、忘れてはならない人物がいます。フリーソフトウェア運動をリードしてきた伝説のハッカー、リチャード・ストールマンです。彼は、ソフトウェアはフリー(自由)に利用・開発できなければならないという固い信念に基づき、GNU GPL(グニュー・ジーピーエル)というソフトウェアライセンスを発明します。

そして、リチャードに関することが(著者とリチャードの親しい関係なども)詳しく紹介される。

オープンソースとフリーウエアの違いについて井田氏は次のように書いている。

よくフリーソフトウェアとオープンソースの違いを聞かれることがあります。とりあえず、「フリーソフトウェアは、ソフトウェア開発者個人としての問題意識から出発している。一方、オープンソースは、産業としての問題意識から出発している」と答えることにしています。

第2章、第3章は進藤氏が書いている。日本のハッカーの実態については「オープンソースソフトウェア技術者の人材評価に関する調査 報告書(概要編)」が紹介されている。

この本はオープンソースの成り立ちから始まり、次世代への思いをこめた言葉でしめくくられている。オープンソスの概要がわかりやすくまとめられていて参考になる。

ただ、タイトルから受ける印象と内容とは異なるように感じた。オープンソースがどういったものかを理解していて、「どうやってビジネスに出来るのか?」を参考にしたいと思って読み始めた人には少々、ものたりなさを感じるかもしれない。