「オープンソースがなぜビジネスになるのか」井田昌之・進藤美希・著。
最初に次のような記述がある。
オープンソースを大きく躍進させたのは、その代名詞ともなっているリナックスです。(中略)しかし、オープンソースを語るうえで、もう一人、忘れてはならない人物がいます。フリーソフトウェア運動をリードしてきた伝説のハッカー、リチャード・ストールマンです。彼は、ソフトウェアはフリー(自由)に利用・開発できなければならないという固い信念に基づき、GNU GPL(グニュー・ジーピーエル)というソフトウェアライセンスを発明します。
そして、リチャードに関することが(著者とリチャードの親しい関係なども)詳しく紹介される。
オープンソースとフリーウエアの違いについて井田氏は次のように書いている。
よくフリーソフトウェアとオープンソースの違いを聞かれることがあります。とりあえず、「フリーソフトウェアは、ソフトウェア開発者個人としての問題意識から出発している。一方、オープンソースは、産業としての問題意識から出発している」と答えることにしています。
第2章、第3章は進藤氏が書いている。日本のハッカーの実態については「オープンソースソフトウェア技術者の人材評価に関する調査 報告書(概要編)」が紹介されている。
この本はオープンソースの成り立ちから始まり、次世代への思いをこめた言葉でしめくくられている。オープンソスの概要がわかりやすくまとめられていて参考になる。
ただ、タイトルから受ける印象と内容とは異なるように感じた。オープンソースがどういったものかを理解していて、「どうやってビジネスに出来るのか?」を参考にしたいと思って読み始めた人には少々、ものたりなさを感じるかもしれない。