「ついこの店で買ってしまう理由(わけ)」 博報堂パコ・アンダーヒル研究会・著、小野寺健司、今野 雄策・編集。
お店を開いている方にはお薦め。おもしろい。
お店を開いてみたくなるような本。
イラストを多様していて読みやすく、わかりやすい文章。それでいて内容は的を射ている。
パコ氏は、ニューヨークにENVIROSELLという会社を経営している。東京にはエンバイロセルジャパン社を設立。
この人の「調査の徹底」とそれに基づいた科学的な分析がすばらしい。
調査は、トラッキング(行動観察)という手法で、お店に入った時から、その人が何を手にとり、それを買う、買わないという行為をつぶさに観察する。それを気づかれないように観察するのがポイント。そういう地味~な調査を繰り返し行い、膨大なデータから分析をする。これを全社員が毎週末に行う。パコ氏は20年間、行ってきた。
そんなパコ氏が日本の独自性としているのは、
1つ目は、「実務的」でありながら同時にそこに「美意識」があるという、この2つが融合可能であると示したことである。
2つ目は「ドラマ」ー梨園の世界とか、いうなれば文楽とか能のような世界、要素を世界に提供してくれたと思う。
3つ目に、日本が世界に対してもたらしてくれた大きな要素は、「少ない」こと「シンプル」なことが、実はたいへん大きいこと、深いことを意味するということである。
例えば、研ぎ澄まされた「禅」の世界であるとか、一輪の花の中に見いだされる美意識、「俳句」という制限された言語数の中で凝縮したコミュニケーションをはかっていくという、研ぎ澄まされた中にあるおける、深さ、広さ、大きさというものを日本は伝えてくれる国である。
へぇ~~~、なるほどね~~~。