読書:グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する

「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 」佐々木俊尚・著。
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する

グーグルは1998年、スタンフォード大学院に通う2人の学生が設立したベンチャー企業。その功績はいろいろなところで讃えられているが、この本は警鐘を鳴らす。最初の方は、グーグルやその他のインターネット企業によって可能になったことを述べ、インターネットによって、それまで弱者だったものにも恩恵を与えることが出来る、ことが書いてある。

しかしながら、タイトルにあるように「グーグルは伝統的なビジネスを破壊しようとしている」と述べ、「ネット社会に出現した「巨大な権力」」は、これが将来的に「薔薇色の夢となるのか、それとも暗黒無となるのかは、まだ誰にもわからない」のだ。

読書:松下幸之助 夢を育てる

「松下幸之助 夢を育てる」松下幸之助・著。
松下幸之助 夢を育てる

私の神様・松下幸之助氏が書いた自叙伝。
本当に!小学校を4年の秋に小学校を中退して丁稚奉公する。有名な話で知ってはいたが、先日、小学校5年生と小学校3年生の甥っ子らを見たばかりなので「ああ、あのぐらいの年か」と思うと、なんとも言えない気持ちになる。夜になると寂しくて泣いたと書いてあり、私も目頭が熱くなる。

実は裕福な家庭の8番目の末の子として生まれた。しかしながら6歳の時に父親が米相場で失敗し、家が傾く。そのうえ、長兄、次兄、次姉が流行病で亡くなるという不幸が続く。

幸之助少年のえらいのは、小僧の頃からしっかりと知恵を使うんですね。それで自分で会社を起こしてからは寝る間も惜しんで働く。それでいてアメリカを見た後には、日本の大企業の中で最初に「週5日制」を導入する。グローバル化を目指して、そしてしっかり働いたら、1日は自分のために、そうしてあと1日はしっかり休むためには2日の休みは必要だと考える。

社員にもよかれと思って提案したのに、社員の方が「なにか裏があるに違いない」と言って反対するあたりは、今にして思えば微笑ましく読めるが、当時はどちらも必死であったろう。

社長を辞める時期、そして会長を辞める時のいさぎよさは実にカッコ良い。いずれも自分で考え、決断する。引き際は、端で見るほど易しいことではないはずだ。引退後、少し休んだ後は、次に社会貢献を考える。本当にすばらしい人だ。

「青春
 青春とは心の若さである
 信念と希望にあふれ、勇気にみちて
 日に新たな活動をつづけるかぎり
 青春は永遠にその人のものである」

「言うなれば、絶えざる創意工夫を通じて、無から有を生み出し、あらゆる面でよりよい想像活動を行っていくのが経営であると思う。だから、それらの経営活動が、非常に適切にバランスよく行われるならばそこに経営者の生命が生き生きと躍動した姿であらわれ、それを見る人に大きな感動を与え、すばらしい経営だな、と嘆賞されるようなものが創造されてくる。私は、経営というものは、本来このように非常に高い価値をもった芸術的行動だと思う。」

経営を芸術と考えるところ、経営者を目指す私には、やる気がモリモリわいてくる。高い志を持って生きよう〜っと。

読書:国家の品格

「国家の品格」藤原正彦・著。
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藤原先生、よくぞ書いてくださいましたと拍手する。勇気百倍もらった本。そういう40歳以上に受けたに違いない。この本は売れている。

「例えば「人を殺してはいけません」ということだって、論理では説明出来ません。(中略)人を殺していけないのは「駄目だから駄目」ということに尽きます。」

以前、私は次のように書いたことがある。
「人を殺してなぜ悪い?」の質問にあっけにとられ、咄嗟には返す言葉を失う。
「そんなごど、決まってるっちゃね〜」と論理的な説明にならずに四苦八苦する。

藤原氏はそれでいいんだ、と書いている「駄目だから駄目」

藤原氏は、「喧嘩について」父が教えた次のことをよく覚えている。

5つの禁じ手がある。
一つ、大きい者が小さい者をぶん殴っちゃいかん
二つ、大勢で一人をやっつけちゃいかん
三つ、男が女をぶん殴っちゃいかん
四つ、武器を手にしてはいかん
五つ、相手が泣いたり、謝ったりしたら、すぐにやめなくてはいかん
(中略)
しかも父の教えが非常に良かったと思うのは「それには何の理由もない」と認めていたことです。「それは卑怯だから」でおしまいです。

各家庭に同様の教えがあったのではないかと思う。そう言われて育った世代は「いじめ」こそはあったけれど、「今のような陰湿ないじめ」はなかった。

藤原氏の家は武士なので、「武士道」を重んじる。オヤマ家は商人の家で、商人の家にもいろいろな教えは伝わっている。なにかは決定的に違うだろうが、根っこのところは同じように思えてならない。藤原氏も書いているが、江戸時代には、歌舞伎などによって武家の教えが町人にも伝わったとあるので、それはそうだろうとは思う。

「天才の出る風土」という章がある。美しい風土に天才が生まれるという藤原氏の持論。それを思いながら、景色の美しい気仙沼から、人が多くて雑然とビルが立ち並ぶ東京に戻る。天才は東京よりも気仙沼の方が出やすい気はする。この本の通りならばね(笑)

読書:待つ女

「待つ女」浅田 次郎・著。
待つ女

「待つ女」は短編小説。
京都弁での語り調がいい。なんでしょうか、つい声に出して読んでみたくなる。そして私なりの京都を勝手にイメージしている。

その他には、浅田次郎と直木賞受賞者らとの座談会などがおさめれていて、実におもしろい。座談会形式はエッセーとは違った角度から本人像が見える。作家達による「あの作品は好き」とか、「どれとは言えないけど、あまり好きではないものもある」的な話は俗っぽくて楽しい。作家はこういう視点で読んでいるのかー。同じ本を読むのでも、奥が深いですのー。

最後の方に、それまでに執筆した本を浅田氏自身が紹介する欄があって、それもまたおもしろい。ここを読んでいると、既に読んだ本(読んだあと、誰かにあげてしまった本)をもう一度、読みたくなった。

読書:博士の愛した数式

「博士の愛した数式」小川洋子・著。
博士の愛した数式

映画になった話題作。古本屋で105円で買った。こんな買い方では作家にはお金が入らない。すみません。

小川洋子氏の本はこれが2作目か、3作目か、、、。すごい作家だ。
「彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。」で始まる。

数学を愛する博士(そして事故により記憶が80分しか持たない)と、そこで働く家政婦とその息子(ルート)。映画では寺尾聰と深津絵里が演ずるので、2人の顔を思い浮かべながら読んだ。2人とも私の好きな役者です。寺尾聰は何かの番組で「自分の代表作と言える映画に出会えて嬉しい」と言っていた。映画も見たい。105円でこんなに楽しませてもらって申し訳ありません。

この本を読むと、数学がとてもおもしろいものに思える。少し前に数学博士の藤原正彦氏の本を読んだばかりで、あーあ、学生の頃にこういう本と出会っていたら数学が好きになったかもしれないなー。

ところで、義姉と家政婦らが一歩もゆずらずに言い合いになった時に、博士はある数式をメモに書いて立ち去るというシーンがある。その数式の意味するものは何だったのだろう?

あとがきに藤原正彦氏が登場した!
ぬぁんと、小川氏は藤原氏に取材に行き、この小説が出来上がったようで、私はそういうことを知らずに2人の作品を続けて読んだことになる。

読書:しょっぱいドライブ

「しょっぱいドライブ」大道珠貴・著。
しょっぱいドライブ

2002年の芥川賞受賞作品。
「しょっぱいドライブ」「富士額」「タンポポと流星」の3作品がおさめられている。芥川賞を受賞しているので、小難しいかな?と思いながら手に取ったが、それほど難しいということもなく、読み切った。むしろ、少々、物足りない感じか。なにかガツンとこなかった気がする。というか、たぶん、ここに出てくる人達が私の対極にいて、共感したり、驚いたりすることがなかっただけかもしれない。

読書:父の威厳 数学者の意地

「父の威厳 数学者の意地」藤原正彦・著。
父の威厳 数学者の意地

数学者・藤原氏のエッセー本で、冒頭の「父親としての威厳」は絶品。おもしろい。
だいぶ前に買って途中まで読んでそのままになったいたのをもう一度、最初から読んだ。やっぱりおもしろい。電車の中でも、おもわず「くっくっく」と笑っちゃう。

家族を描いたおもしろさと、一番最後の「苦い勝利」は、画一的な学校教育のあり方に異を唱えていて、考えさせられる。藤原氏は海外暮らしを経た中で、日本人としての誇りについて力説している。

特に藤原家の教えでもある「武士道」については力を入れている。そういう「プライド」が、最近の私たちには足りないかも。
藤原氏は、新田次郎と藤原ていの間に生まれた次男、とはこの本を読むまでは知らなかった。

読書:田原総一朗の聞き出す力

「田原総一朗の聞き出す力」田原総一朗・著。
田原総一朗の聞き出す力

田原さんを知ったのは1980年代初めの「トゥナイト」というテレビ番組。「トゥナイト」は深夜の人気番組で、曜日によって特色が異なった。遅い時間帯なので軽いネタが多かったように思うが、田原さんのコーナーは政治を取り上げていて硬派。そのうちに「朝まで生テレビ」が始まり、そうこうするうちに「サンデープロジェクト」が誕生した。ずっと見ていた。

1980年代、私はフリーターだった。「政治がどうの」というよりも、明日の生活が大変だった。呑気な平和ボケの私に、田原さんが取り上げる政治ネタがおもしろくて、「へー、そういうことが、この日本で、そして世界で、起きているんだ」と気づかされた。

この本には田原さんがサンデープロジェクトなどで取り上げた場面が数多く出ている。9割方、覚えている。田原さんの番組がきっかけとなって総理が退陣した記憶もある。「これじゃ総理はこの番組には出たくないだろうな〜」と思って見ていた。

田原さんの本は「私たちの愛」に続いて2冊目。「私たちの愛」は再婚された奥様とのことを書いた本。

読書:ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル

「ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル」野口 悠紀雄・著。
ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル

うわっ、これ、おもしろい。
第1部:19世紀のカリフォルニアで起きたゴールドラッシュ、第2部:鉄道王リーランド・スタンフォードによるスタンフォード大学の設立、第3部:シリコンバレーの起業家たちとIT産業の発展、という流れになっている。

19世紀、ゴールドラッシュで大富豪になった人達は、意外にも「金」で儲けてない。西部に流れてくる人達に必要なものを、先に買い占めておいて高く売る。先見の明とタイミングの良さで大儲けをする。ところが、大儲けをした人が最後まで幸せかというと、またそうでもなかったりする。そのお金で次の仕掛けをして、一文無しになってしまったりするわけだ。

さらに、、、大富豪になって幸せに生きた人達の中でも、後世に名が残っている人はほとんどいない。大学を創設したスタンフォードなどの限られた人だけだ。それはほんの150年ほど前の話なのに。

当時と「今」は似ている点が多い。アメリカでは、新しいIT企業が出来ては消えていく。そのほとんどがスタンフォード大学を中心としたシリコンバレー界隈の話だ。そういう土壌が作られたのは、19世紀のゴールドラッシュのおかげだ(それまで、その地には何もなかった)。

著者の野口さんは、日本への警笛を鳴らしている。19世紀のアメリカでは東部からカリフォルニアに向かうにはは荒野を越える危険な旅だった。日本から船で向かった方が楽だったのではなかろうか。けれども当時の日本は鎖国で、海の向こうで何が起きているのか知らなかった。もしくは知っていても、日本とは別世界の話だったろう。

では、21世紀の現代はどうか。海の向こうの話はおもしろいほど伝わってくる。けれど日本の、私達の動きはどうか? 新しい産業を生み出すパワーはどうか? いろいろと考えさせられる本だ。

読書:詳解RSS

「詳解RSS」水野貴明・著。
詳解RSS

RSSについてはわかってないことも多いので、じっくり読んでみた。RSSのバージョンがいくつか存在している理由がわかったし、とても詳しい。これだけの本を書く労力は大変なものだろうね。後半はちょいとすっ飛ばして読んだので、また必要に応じて開くとしようっと。