渋谷・シアターコクーンで「天日坊」だ。
お席は、1階O列14番。
場内ほぼ満席。だが、少しだけ空席がある。当日券も販売されていた。ちょうど、私の前の席が空き。見やすくて助かる。他の席は「空き」を入れずに人が入っている。
このお芝居は宮藤官九郎が脚本。串田和美・演出、美術だ。2012年に演じられ、今ここに10年ぶりの再演。私は前作は観ていない。
イヤホンガイドはない。久しぶりにカタログを購入、1,800円。
カタログの「宮藤官九郎」さんのページには初演から10年、そして、さらに30分縮めるという仕事。なかなかに大変だったと思います。その2012年「天日坊」がコクーン歌舞伎のために脚本を書いた初めての作品だったそう。その稽古初日に父・勘三郎が癌であることがわかった。そして、松本での千秋楽に父・勘三郎がサプライズで出演したのが最後の舞台だったと。いろいろな事が盛り込められた作品。
勘九郎さんのページには、「法策という人物を表すなら”無”のひとこと、運命に翻弄され流されている」とある。そして「内面的な複雑さに加えて、ずっと出ずっぱりで、、、、、。もう毎回、ぐったりでした」とある。さぁて、今回もぐったりしているのだろうか?
七之助さんのページには、その10年前が東京スカイツリーがオープンした年と書いてある。何人かで出かけるとエレベーターを降りたところに浮世絵が飾ってあり「人丸お六」と書いてある。「これだ!」と思い、衣装や小道具はそれを参考に作らせていただいたそうだ。
中村獅童さんのページには、「天日坊」は自分たちの世代が中心となって上演した初めてのコクーン歌舞伎と書いてある。そして、亡き勘三郎さんが「ぎゃはははは」という笑い声が起こった時のこと、など思い出を書いてくれている。私は前・勘三郎さんのファンだったから、その文章を見るのは嬉しいことだ。
勘九郎扮する法策は「これぞ」と思いつき実践していく。そんなうまくいくまいと思いながらもグイグイ引き込まれる。腕に「天」の文字。これが「ある」のか「ない」のか。見ればわかるわけで、それをドキドキしながら見守る。3時間ほどの上映時間があっという間に過ぎていく。ドギマギしながら過ぎていく。良い芝居です。
鳴り物はいつもの三味線や太鼓ではなく、バンドです。そしてトランペット。それがうまくマッチしているのは凄い。
法策 後に天日坊:中村勘九郎
人丸お六:中村七之助
猫間光義:市村萬次郎
お三婆/赤星大八:片岡亀蔵
北條時貞:坂東巳之助
傾城高窓太夫:坂東新悟
越前の平蔵:近藤公園
観音院/鳴澤隼人:真那胡敬二
久助:白井晃
地雷太郎:中村獅童
幕が降りて、2度、カーテンコールがあった。良い舞台です。渋谷駅に向かって歩きながら、まだまだ余韻に浸っていたわけです。