読書:市川中車 46歳の新参者

「市川中車 46歳の新参者」香川照之・著。

市川中車さん、今、一番、気になる役者さんです。もともとは本名の香川照之として役者をしている。結婚をして子供が出来た。男の子も出来た。何を思ったか香川さん、その子を歌舞伎役者にしたいと考えたのだ。そういう血筋なのだ。しかしながら、自分は歌舞伎役者ではない。子供にだけ、その思いを押し付けて良いのか? そして、自分も歌舞伎役者になった。市川中車さん。

その大変な思いをこの本には書いてある。これほどまでに忙しい生活の中で、本まで出すとは凄いなぁと思っている。すると最後の最後に「自分が書いたのではなく、話したことを書いてもらった」といった内容が添えられてある。なるほど、その手があったか。

中車さんを初めて見たのは2015年7月夜の部。歌舞伎座。「牡丹燈籠」の伴蔵役。玉三郎の相手役。驚いた、驚いた。上手い! 歌舞伎一筋でやってこられた方のように見える。その影には凄まじい努力があるでしょう。

帯にある言葉は実に印象的。

やらずに逃げる怖さは、やることの怖さをわずかに上回った。ならば、もうやるだけだ。進むも苦労、逃げるも苦労。

これから、どのような役者人生を歩まれるのだろう。また舞台を観に参ります!