ソニーは日本のベンチャー企業を志すものにとって、あこがれのブランドである。そのソニーが、このところ良い話を聞かない。つい先頃は、SONY BMGのCDに搭載された「rootkit」問題が広がっている。マイクロソフト社もこの対策に乗り出し、今後、どのようになっていくのか動向が気になる。
ソニー本社6階の「経営企画部」に配属された著者が、「なぜ、ソニーがこうなっていったか」を冷静に分析して提言している。
ソニーは創業者が「自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場」と掲げた。なんとも魅力的な言葉だ。著者はこの言葉に魅せられて就職を決める。競争率の高いソニーには、著者のように優秀な人が大勢、採用されただろう。
しかしながら、ソニー生え抜きの上司よりも、中途採用された上司の言葉が著者の心に残っているというのは、なんとも皮肉な話に聞こえる。
私たちがソニースピリッツとして尊敬していたものは、創業者とともに消えてしまったのだろうか?
いや、そうは思いたくない。
けれど、後々までスピリッツを受け継いでいくことが、いかに大変かということはわかる。
以前読んだ「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」も今回の「ソニー本社6階」も、著者はその企業を愛している。だから、単なる暴露本ではなく、「再生して欲しい」という気持ちが出ている。企業も生き物であり、時には病気もする。その回復力を付けるために日々、精進しなければならないのだと強く思う。
もう一つ、、、本当にその企業のことを愛しているならば、内側から改革をすべきだと、私は思う。私はサラリーマンの経験がないから、呑気にそんなことを言えるのかもしれない。それはわかっている。それでも、改革は内側から起こささないとダメなんだ。